親族間売買で住宅ローンを組んだ後、別の銀行へ借り換えできる?【親族間売買FAQ】

親族間売買FAQ #07「住宅ローンを組んだ後の別銀行への借り換え」について解説する鉾立榮一朗事務所のバナー画像 親族間売買

行政書士・宅地建物取引士 鉾立榮一朗のプロフィール写真この記事を書いた専門家
鉾立 栄一朗(ほこだて えいいちろう)
行政書士・宅地建物取引士/財産承継コンサルタント
行政書士 鉾立榮一朗事務所 代表/Change&Revival株式会社 代表取締役
宅地建物取引業免許 東京都知事(3)第94647号
2008年より親族間売買・住宅ローン借り換えの専門サポートを行い、サポート実績は60件超。プロフィール詳細はこちら

Q. 親族間売買で住宅ローンを組んだ後、別の銀行に借り換えはできますか?

A. 可能です。

ただし、最初に組んだローンの種類や借り換え先の金融機関の条件によって、借り換えのタイミング・費用・審査のハードルが変わります。

特にノンバンクでローンを組んでいる場合は、中途解約(繰上返済)に伴う手数料(返済元金の2〜3%程度)が発生するため、事前の試算が欠かせません。

なお、住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)の適用を受けている場合は、要件を満たせば借り換え後も控除を継続できます。

以下では、当事務所にお問い合わせいただいた実際のご相談とそれへの回答を出発点に、「親族間売買後の住宅ローン借り換え」について、知っておくべきポイントを詳しく解説します。

【動画で解説】親族間売買で住宅ローンを組んだ後、別の銀行へ借り換えできる?(1分20秒)

お急ぎの方や移動中の方は、まずこちらの動画(1分20秒)でポイントをご確認ください。

1. 実際のご相談:「数年後の借り換えは現実的でしょうか?」

親族間売買の住宅ローンについてご相談いただくお客様の中には、次のようなお悩みをお持ちの方が少なくありません。

【お客様からのご相談メール】

親族間売買ということで、より良い金利条件で審査が通る可能性が低いということは理解しています。
ですが、可能であれば、高い金利で返済し続けるというのは最後の選択肢としたいです。

(返済期間、毎月の返済額等の調整に関わらず)
そこでご教示いただきたいのですが、「親族間売買後の数年後の借り換え」についても併せて検討をしているところなのですが、残債や収入面などを踏まえて出口戦略として現実的なのでしょうか。

これは、親族間売買の特性上、最初から低金利の銀行で住宅ローンを組めないケースにおいて、よく寄せられるご質問です。

高金利のまま返済を続けるのではなく、一定期間後に有利な条件の金融機関へ借り換えることを最初から見据えた「出口戦略」として位置づける考え方は、十分に現実的かつ有効な選択肢です。

2. 借り換えでメリットが出やすい3つのチェックポイント

住宅ローンの借り換えは、諸費用(事務手数料・登記費用など)が発生するため、単純に金利が下がればよいというわけではありません。

諸費用を差し引いてもプラスになるかどうかが判断の基準です。

一般的には、以下の3つの条件を2つ以上満たすと、借り換えのメリットが出やすいとされています。

借り換えメリットが出やすい3つのチェックポイント

条件 ポイント
①金利差が1%以上 借り換え先の金利が現在より1%以上低ければ、通常の住宅ローン(変動金利1~2%台)に借り換えた場合に十分な効果が期待できます。
②ローン残高が1,000万円以上 残高が多いほど、わずかな金利差でも総返済額の軽減効果が大きくなります。
残高が少ない場合、諸費用の方が軽減額を上回るケースがあります。
③残り返済期間が10年以上 期間が短いと利息の軽減効果が小さく、諸費用の方が高くなりがちです。
返済期間が長いほど、金利差の恩恵を享受できます。

特に、金利差1%以上で借りられる金融機関への借り換えが実現すれば、返済負担は大きく軽減されるケースが多いです。

実際に借り換えを検討する際は、候補の金融機関に相談すると、諸費用も含めたシミュレーションを行ってもらえます。

事前に複数の金融機関で試算してもらうことをお勧めします。

3. ノンバンクや信金プロパーから、大手銀行・ネット銀行・ろうきんへの借り換えという戦略

親族間売買では、一般的な銀行での審査が難しいケースがあります。

そのような場合、一時的にノンバンク(セゾンファンデックスなど、変動金利4〜5%程度)や信用金庫のプロパー融資(3%前後)でローンを組み、親族間売買を実施後、数年後に大手銀行・ネット銀行・ろうきんなど(1%前後~1%後半)へ借り換えることを前提とした「入口」として位置づける戦略を取ることがあります。

当事務所でサポートしたお客様の中には、実際にこの方法で問題を解決された方がいらっしゃいます。

【当事務所でサポートしたお客様の事例】
信用金庫のプロパー融資(変動金利2.7%)で親子間売買を実施
→ 5年後に中央労働金庫(ろうきん、変動金利1%前半)へ借り換えに成功

注意点:ノンバンクの解約手数料(違約金)

ただし、ノンバンクで住宅ローンを利用している場合、借り換えの際に中途解約(繰上返済)手数料として、返済元金の2〜3%程度の費用が発生するのが一般的です。

たとえば、残債が2,000万円の場合、解約手数料は40〜60万円程度になります。

そのため、親族間売買でノンバンクを利用するのは、「最初の選択肢」ではなく、「最後の手段」かつ「将来の借り換えを前提とした入口」として位置づけるのが賢明です。

4. 借り換えのタイミング:いつから動けばいい?

「数年後の借り換え」についてですが、具体的にはどのくらいの期間が必要でしょうか。

借り換え先の金融機関の審査においては、現在のローンの返済実績が重要な判断材料のひとつになります。

最低でも1年程度の返済実績があると、「きちんと返済できる方だ」と金融機関が判断しやすくなり、審査が通りやすくなります。

一方、2〜3年以上返済実績を積めれば、より安定した評価を得やすくなります。

また、その間に年収が上がったり、他のローン(自動車ローンなど)の残高が減ったりすれば、返済比率の改善にもつながり、借り換えの条件がさらに有利になる可能性があります。

返済実績の目安

  • 最低ライン:1年以上
    → 借り換え審査に臨む最低限の実績
  • 理想的な目安:2〜3年以上
    → 返済実績の信頼度が増し、審査が安定しやすい

5. 住宅ローン控除(減税)は借り換え後も続けられる?

親族間売買で住宅ローン控除の適用を受けている場合、借り換えをしても控除を継続できるのかという点は、よくご質問いただくテーマです。

結論としては、一定の要件を満たせば、借り換え後も住宅ローン控除を引き続き受けることができます

主な確認ポイントは以下のとおりです。

  • 借り換えたローンが、従前の住宅ローンの返済に充てられるものであること(住宅取得以外への資金流用でないこと)
  • 借り換え後の住宅ローンの残高が、借り換え直前のローン残高を超えていないこと(超過分は控除の対象外)
  • 引き続き対象住宅に居住していること
  • 借り換え後のローンが、返済期間10年以上の分割返済であること

詳しくは税務署または税理士にご確認ください。

6. 重要事項説明書はなぜ必要なのか

借り換えの際に意外と見落とされがちなのが、重要事項説明書の存在です。

通常の住宅ローンを利用する場合、多くの金融機関が審査の際に重要事項説明書の提出を求めます。

これは借り換え先の金融機関でも同様です。

親族間売買の時点で、プロパー融資(保証会社を利用しない融資)を利用し、重要事項説明書を作成していないケースがあります。

しかし、将来的な借り換えを視野に入れているのであれば、売買の時点で重要事項説明書を作成しておくことを強くおすすめします

後から重要事項説明書を作成・取得しようとしても、既に売買手続きが完了している場合は、それが難しいことがあります。

ポイント
親族間売買の時点で宅地建物取引業者(宅建業者)を関与させ、重要事項説明書・売買契約書を適正に作成しておくことが、将来の借り換えをスムーズにする重要な準備になります。

7. まとめ:借り換えを視野に入れた「出口戦略」

親族間売買後の住宅ローン借り換えについて、重要なポイントを整理します。

項目 ポイント
借り換えの可否 原則として可能。
金利差・残高・残期間が鍵。
ノンバンクの位置づけ 解約手数料は返済元金の2〜3%が一般的。
そのため、「最後の手段」かつ「将来の借り換えを前提とした入口」として検討するのが妥当。
借り換えの最低実績期間 1年以上(理想は2〜3年以上)の返済実績が目安。
住宅ローン控除の継続 要件を満たせば継続可能。
重要事項説明書 親族間売買時に作成しておくことで、将来の借り換え審査に対応できる。

 

親族間売買では、最初の金融機関の選定から「将来の借り換え」まで見据えたスキームを設計することが重要です。

当事務所では、入口の金融機関の選定から売買契約書・重要事項説明書の作成、将来的な借り換えに向けたアドバイスまで、一貫してサポートしています。

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鉾立 栄一朗
豊富な知識・経験・事例を持つ「財産承継手続きの専門家」 行政書士 鉾立榮一朗事務所 代表 Change&Revival株式会社 代表取締役 (宅地建物取引業免許 東京都知事(3)第94647号) 行政書士・宅地建物取引士 財産承継コンサルタント 財産・事業に関わる各種手続きでお困りの方を “専門家の知恵” と “最適な手法” でサポートする財産承継手続きの専門家。 20代会社員のとき、実家の金銭問題をそばで支えた体験から、お金や不動産など財産の問題で困っている人のサポート役になろうと決意。 その後、司法書士・行政書士・土地家屋調査士の合同事務所で働きながら、法務手続き実務を体得。 前職の財産・企業再生コンサルティング会社では、地域金融機関の専属アドバイザーとして年間50件以上の顧客相談に対応し、「身近に相談できる人がいない」、「知り合いに相談してみたが、満足な回答が得られない」と悩む個人や企業の財産問題・経営問題の解決に従事する。 専門は、相続・遺言、親族間の不動産売買・贈与、家族信託、会社設立・営業許認可申請等の各種法務実務の実践。 相談者の悩みを解決する最適な手法・手続きを提案し、必要に応じて適材適所、各分野の専門家をコーディネートする。
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