「先生がまとめてくださった資料があったことで、スムーズに内容を理解できました」――こう語ってくださったのは、東京都新宿区の信用金庫で融資を担当するT.K様(50代)です。
今回ご紹介する事例は、お父様の不動産担保ローン返済と老後資金の確保を目的とした、親子間の区分所有マンション売買です。
フラット35が否決となり行き詰まった状況から、地元信用金庫でのプロパー融資申し込みによって実現したこの案件について、融資の担当職員様にお話をお伺いしました。

【聞き手】
鉾立 栄一朗(ほこだて えいいちろう)
行政書士・宅地建物取引士/財産承継コンサルタント
行政書士 鉾立榮一朗事務所 代表/Change&Revival株式会社 代表取締役
宅地建物取引業免許 東京都知事(3)第94647号
専門は、相続・遺言、親族間の不動産売買・贈与、家族信託、会社設立・営業許認可申請等の各種法務実務の実践。
今回は、親子間マンション売買の住宅ローン案件でお世話になった信用金庫職員様に、案件を振り返ってお話を伺いました。▶ プロフィール詳細はこちら
事例の概要
| ご相談者 | 東京都新宿区在住のM.I様(30代)。 お父様の不動産担保ローン返済と老後資金の確保を目的に、実家マンションの親子間売買を検討。 |
| きっかけ | 不動産業者を通じてフラット35を申し込んだものの否決。 どの金融機関でローンが組めるか分からず、ネット検索で当事務所を見つけ、オンライン無料相談へ。 |
| 物件の特徴 | 区分所有マンション。 修繕積立金が不足して補強工事ができないため、耐震基準適合証明書を取得できず。 |
| 解決方法 | 事例比較法による査定額をもとに売買代金を再設定。 経緯と親子間売買の必要性を整理した資料を作成し、地元信用金庫へ打診。 プロパー融資にて本部決裁を取得し、融資実行。 |
| 結果 | 不動産担保ローンを完済。 残りの売買代金は、ご両親の老後資金として確保。 |
M.I様は、お父様が生活費のために不動産担保ローンを利用し、毎月の返済に困窮されているという状況の中で、親族間(親子間)売買による解決を検討されていました。
お父様は当初、リースバックも視野に入れていましたが、M.I様は「根本的な解決にならない」と判断し、実家マンションを自身が買い取る方向で動き始めます。
しかし、依頼した不動産業者を通じて申し込んだフラット35は否決。
「次にどの金融機関ならローンが組めるのか」が分からない状態でネット検索をされていたところ、当事務所のホームページをご覧になり、オンラインでのご相談に至りました。
当事務所では、マンションの築年数と返済負担率を踏まえ、売買代金の見直しが必要であることをご提案。
事例比較法による合理的な査定額を算出し、案件の経緯と親子間売買の必要性を整理した資料を作成して、地元信用金庫へ打診しました。
審査の結果、プロパー融資にて本部決裁を取得。
融資実行により、売買代金をもって不動産担保ローンを完済し、残りの売買代金はご両親の老後資金として確保されました。
信金職員T.K様の声(インタビュー)
――普段のお仕事の役割や、お客様対応で大切にしていることを教えてください。
基本的に、ご相談をいただいたら「やる」というスタンスで取り組んでいます。
事業性融資であれば、中小企業の方々をしっかり支えることが私どもの役割です。
そのうえで、法律的に可能な案件なのかを判断することも重要です。
最終的に実行できるかどうかは会社としての判断になりますが、できる限り前向きに検討する姿勢を大切にしています。
――今回、当事務所と一緒に案件を進めてみて、どのように感じましたか。
(父の不動産担保ローン返済と老後資金の確保を目的とする、親子間の区分所有マンション売買サポート)
案件の受付に至る経緯など、先生がまとめてくださった資料があったことで、スムーズに内容を理解できました。
落とし込みが非常にしやすかったです。
――今回の案件で、特にポイントになった部分はどこだと思われますか。
やはり「親族間売買」という点は、社内でも議論になりました。
ただ、若い世代を応援するという観点もあり、そこはクリアできました。
あとは、金利がどうなるかがポイントだったと思います。
用語解説:親族間売買とプロパー融資
親族間売買(しんぞくかんばいばい)
親子・兄弟など、親族の間で不動産を売買することを指します。
一般的な売買と法律上の手続きは同じですが、金融機関からは「当事者間で売買価格や条件を恣意的に操作できる可能性がある」とみなされやすく、住宅ローンの審査が通りにくい傾向があります。
フラット35は親族間(親子間)売買にも対応していますが、耐震基準適合証明書の取得が必須のため、築年数が古いマンション・戸建などでは否決となるケースがあります。
また、昨今はフラット35の金利が3%を超えている状況です。
そのため、親子間売買で住宅ローンを検討する際は、次のような順序での選択肢が現実的となります。
①信用金庫や地方銀行のプロパー融資を活用する、または親子間売買に対応する保証会社と提携する金融機関を利用する
②フラット35を活用する
③最終手段としてノンバンクを利用する
プロパー融資
信用保証会社の保証を利用せず、金融機関が独自の審査・判断で融資を実行する方式です。
保証会社の審査基準に縛られないため、案件の背景や必要性を丁寧に説明・資料化することで、フラット35などでは否決される案件でも承認が得られる場合があります。
ただし、融資の可否は金融機関の本部決裁に委ねられるため、案件の整理・資料作成・打診先の選定が極めて重要になります。
このご相談から見えること
このインタビューで印象的だったのは、T.K様の「ご相談をいただいたら『やる』というスタンス」という言葉です。
親族間売買は社内でも議論になったとおっしゃっていましたが、「若い世代を応援する」という観点で前向きに判断できた背景には、案件の経緯と必要性をまとめた資料があったことが大きかったと考えられます。
金融機関の担当者様が社内で案件を通すためには、「なぜこの売買が必要なのか」を説明できる材料が不可欠です。
一方、フラット35では、このような「材料」の提出が不要であるため、規定通りの審査判断となり、否決されても”何が問題だったのか”が分からず行き詰まってしまうケースが少なくありません。
今回のように、売買代金の合理的な根拠づくりと、案件の背景・必要性を整理した資料の作成によって、信用金庫のプロパー融資につなげるというアプローチは、同様の状況にある方にとって参考になるはずです。
「どの金融機関ならローンが組めるのか分からない」という段階でも、専門家に相談することで道筋が見えてきます。
金融機関の担当者様の立場からも、整理された資料と明確な案件の背景があることで、社内での検討・決裁がスムーズに進みます。
専門家・お客様・金融機関が同じ情報を共有しながら案件を進められる体制こそが、親族間売買における住宅ローン実現の鍵といえるでしょう。
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