おじ・おばが相続した不動産を、甥や姪が買うことはできる?【親族間売買FAQ】

親族間売買FAQ #08:おじ・おばが相続した不動産を、甥や姪が買うことはできる?|財産承継ミニセミナー|行政書士・宅建士 鉾立榮一朗事務所 親族間売買

行政書士・宅地建物取引士 鉾立榮一朗のプロフィール写真この記事を書いた専門家
鉾立 栄一朗(ほこだて えいいちろう)
行政書士・宅地建物取引士/財産承継コンサルタント
行政書士 鉾立榮一朗事務所 代表/Change&Revival株式会社 代表取締役
宅地建物取引業免許 東京都知事(3)第94647号
2008年より親族間売買・住宅ローン借り換えの専門サポートを行い、サポート実績は60件超。うち親戚間の売買案件も複数取り扱う。プロフィール詳細はこちら

Q. おじ・おばが相続した不動産を、甥や姪が買うことはできますか?

A. はい、できます。

法律上、売買の当事者に親族間の制限はなく、叔父・叔母(おじ・おば)と甥・姪(おい・めい)の間であっても、対価(代金)を支払って不動産を売買することは可能です。

ただし、親族間売買には、住宅ローンの審査や、税務上の「みなし贈与」リスクなど、通常の不動産取引とは異なる注意点があります。

以下では、当事務所がサポートしてきた実際の事例をもとに、手続きの進め方と注意点を詳しく解説します。

【動画で解説】おじ・おばが相続した不動産を、甥や姪が買うことはできる?(1分31秒)

お急ぎの方や移動中の方は、まずこちらの動画(1分31秒)でポイントをご確認ください。

1. おじ・おば→甥・姪への売買が生じる主なケース

「おじ(おば)が相続した・所有する不動産を、甥(姪)が買い取りたい」というご相談は、当事務所でも一定数いただいています。

具体的には次のような状況が見られます。

  • おじ(おば)が相続した実家・土地について、実際に住んでいる甥(姪)が名義を取得したい
  • おじ(おば)が相続した不動産の共有持分を、甥(姪)が買い取って権利を整理したい
  • おじ(おば)の老後資金の確保と、甥(姪)の住み替えを目的として、甥(姪)が住宅ローンを組んで買い取りたい
  • 相続によって親族で共有状態になった土地を、建物を建てたい甥(姪)が取得したい
  • おじ(おば)が売却を考えている不動産を、第三者への売却より親族内で引き取りたい

こうした「親戚間の売買」は、親子間や兄弟間の売買と比べると、住宅ローンの審査難易度が相対的に低くなる傾向があります(後述)。

ただし、通常の第三者との売買とは異なり、取り扱う金融機関が少ない点は共通しています。

2. 親戚間売買のメリットと注意点

メリット

  • 不動産を第三者に売却せず、親族の手元に残すことができる
  • 相続で分散した不動産の権利関係を整理・集約できる
  • おじ(おば)にとっては、売却代金を老後資金に充てることができる
  • 甥(姪)は、相場より低い価格で不動産を取得できる場合がある(適正価格の範囲内で)
  • 将来の相続によって権利関係が複雑化するのを未然に防ぐことができる

注意点

  • 親族間売買の住宅ローンを取り扱う金融機関が少ないため、自力での探索が難しくなる
  • 売買代金が低すぎると、買主(甥・姪)に贈与税が課されるリスクがある(「みなし贈与」)
  • 売主(おじ・おば)に売却益が生じる場合、譲渡所得税がかかるリスクがある
  • 通常の第三者との売買と同じように、売買の合意内容や代金の支払い方法を明確にし、契約書類を正式に作成する必要がある(住宅ローン利用時は、原則として売買契約書・重要事項説明書の作成は必須)

3. 住宅ローンは組める?審査の難易度と金融機関の選び方

親族間売買全般において、住宅ローンを取り扱う金融機関が少ないのは共通の課題です。

しかし、当事者の関係性によって審査の難易度は異なります。

親族間売買における住宅ローン審査の難易度

売買の当事者 難易度
親子間・夫婦間売買 高い(保証会社が利用できないケースが多い)
兄弟姉妹間売買 中程度
親戚間売買(おじ・おば⇔甥・姪) 相対的に低い(親族間売買の中では審査が通りやすい)

親戚(おじ・おば⇔甥・姪)間の売買が比較的審査を通りやすい理由は、親子間のように「相続できる財産をなぜ今売買するのか」という疑問が生じにくく、資金使途の説明がしやすいためです。

ただし「審査を通りやすい」とはいえ、取り扱い金融機関が少ないという課題は変わりません。

主な選択肢となる金融機関

親戚間の不動産売買で住宅ローンを検討する場合は、主に以下の金融機関が候補となります。

  • 地方銀行・信用金庫
    親族間売買を取り扱う金融機関が存在し、候補となります。
    ただし、各金融機関・各支店のスタンスにより対応が大きく異なります。
  • ろうきん
    原則として親族間売買は対象外ですが、条件次第で「親戚間の売買」は審査対象になるケースがあります。
  • 一部の都市銀行(みずほ銀行・三井住友銀行)
    みずほ銀行と三井住友銀行については、条件次第で親戚間の売買が対象になるケースがあります。
  • フラット35(住宅金融支援機構)
    親戚間の売買でも、一定の条件を満たせば対象となります。
    ただし、固定金利(3%台)しか選べない点に注意が必要です。
  • ノンバンク(セゾンファンデックスなど)
    審査が比較的通りやすい一方、金利が高め(変動4〜5%台)となります。
    他に選択肢がない場合の最終手段となります。

金融機関の選定・打診は、親族間売買の実績がある専門家や不動産仲介業者に依頼するのが確実です。

金融機関としても、プロが間に入ることで、案件への理解が深まり、審査がスムーズに進みやすくなります。

4. 税務上の注意点(みなし贈与・譲渡所得税)

買主(甥・姪)側:みなし贈与のリスク

親族間売買では、著しく低い価格で売買した場合、時価との差額が「贈与を受けた」とみなされ、買主に贈与税が課税されることがあります(いわゆる「みなし贈与」)。

売買代金の設定には、次のような目安があります。

  • 下限の目安:相続税評価額(路線価・固定資産評価額ベース)
    これを下回る価格では、贈与税のリスクが高まります。
  • 上限の目安:近隣の実際の取引価格・地価公示価格ベース

ただし、分譲マンションなど、相続税評価額と実勢価格が大きく乖離している物件では、実際の取引価格に売買代金を近づける必要があります。

売主(おじ・おば)側:譲渡所得税の課税

売主については、売買代金が不動産の取得費・譲渡費用を上回る場合、その差額(譲渡益)に対して、原則として譲渡所得税が課税されます。

なお、譲渡益を控除できる「マイホームを売ったときの3,000万円特別控除」の適用については、一定の要件があるため、親戚間の売買では使えないケースがあることに注意が必要です。
(※参考:国税庁HP 『マイホームを売ったときの特例』

スキームの検討段階から、譲渡所得が発生するかどうかのシミュレーションを行っておくことが重要です。

5. 手続きの流れと必要書類

親戚間の不動産売買(住宅ローンを利用する場合)の手続きは、概ね以下の流れで進みます。

手続きの流れ(住宅ローン利用の場合)

  1. 売買スキームの検討(売買代金の設定・資金計画・税務シミュレーション)
  2. 金融機関の選定・事前打診(売買の経緯・必要性・スキームを説明)
  3. 住宅ローン事前審査(仮審査)
  4. 事前審査の承認・融資条件の確認
  5. 売買契約書・重要事項説明書の作成
  6. 住宅ローン本審査(正式審査)
  7. 金融機関との融資契約
  8. 売買代金の決済・登記申請

手続き全体の所要期間は、スキームの検討開始から売買代金の決済まで、おおよそ2〜3か月が目安です。

ただし、権利関係が複雑な場合(他の共有者の同意が必要な場合など)は、それ以上かかることもあります。

また、住宅ローンを利用する場合は、売買契約書・重要事項説明書の作成・提出が原則として必須です。

これらは宅地建物取引業者(不動産仲介業者)でなければ作成できないため、業者の関与が必要となります。

なお、当事務所(当社)は、不動産仲介会社(宅地建物取引業免許 東京都知事 第94647号として、不動産売買契約書・重要事項説明書の作成に対応しています。

6. 当事務所の実際のサポート事例

これまで当事務所がサポートした親族間売買の案件の中から、「親戚間の不動産売買」に関する事例をご紹介します。

事例①:叔父・甥間の戸建売買(住宅ローン利用/社宅→戸建住宅への住み替え目的)

K.S様(40歳)/東京都江戸川区
(物件:埼玉県さいたま市)

社宅から叔父様が所有する戸建住宅へ住み替えを検討されていたK.S様。

街の不動産業者に相談するも、親族間売買特有の住宅ローンの難しさと、仲介手数料の高さがネックとなり、手続きが進まない状況でお困りでいらっしゃいました。

当事務所の無料個別相談をご利用いただき、詳しくお話を伺ったところ、フラット35の融資条件を満たしていると判断。

事前審査の申し込みを提案し、無事承認を取得されました。

その後、物件調査・売買契約書・重要事項説明書を整備し、本審査承認を経て、売買代金の決済まで一貫してサポート。

銀行指定の司法書士と連携し、登記申請も完了しました。

「ホームページの問題解決事例・実績で皆さんがコメントされている通りでした。紳士です。親族間売買に専門性を持った事務所で、安心して依頼できました。手数料も他の不動産業者と比べて良心的であったため、大変助かりました」
(K.S様・40歳・東京都江戸川区)

事例43の詳細を読む(叔父・甥間戸建売買)

事例②:親族間の土地共有持分売買(住宅ローン利用/建物建築目的)

T様(60代)/東京都

お二人の妹様方と共有名義になっている土地をお持ちのT様。

ご子息が妹様方の共有持分を購入し、その土地上に家を建てたいというご希望でしたが、親族間売買についてどこに相談すればよいか分からず、お困りでいらっしゃいました。

税理士の無料相談を3回ご利用になったものの「特殊な事例なので他の専門家に」と言われ、ネット検索で当事務所を見つけてご相談に見えました。

当事務所では、初回の無料個別相談・スポット相談を経てスキームを固め、ご親族全員が集まる打ち合わせに同席して合意形成をサポート

売買契約書・重要事項説明書を整備し、住宅ローン審査を通過。

売買代金の決済まで全工程をサポートしました。

「最初の相談から約2年半、途中、諦めかけた時もありましたが、鉾立さんにお願いして本当に良かったです。土地の価格調査から細かな書類作成、融資先とのやり取りや調整、融資実行の立ち会い、また私達との打ち合わせなど迅速にやっていただきまして感謝しております」
(T様・60代・東京都)

事例55の詳細を読む(親族間の土地共有持分売買)

その他の親戚間売買の事例

【叔母・姪間売買】
高齢の母・叔母名義のテナントビルの管理を行うことを目的とした、叔母・姪間のテナントビル売買サポート
千葉県佐倉市(物件:福岡県福岡市) M.T様 55歳

【叔父母・姪間売買】
相続で分散した権利を買い取ることを目的とした、叔父母・姪間の自宅戸建の共有持分売買サポート(住宅ローン利用)
東京都府中市 C.S様 41歳

【伯父・姪間売買】
相続した不動産の、伯父・姪間戸建売買サポート(住宅ローン利用)
東京都大田区(物件:宮城県仙台市) H.S様 50歳代

【伯母・甥間売買】
父が伯母から借りた事業資金の返済を目的とした、伯母・甥間の戸建売買サポート(住宅ローン利用)
千葉県八千代市 M.S様 42歳

【伯父・甥間売買】
相続で分散した土地の共有持分を買い取ることを目的とした、伯父・甥間のアパート敷地持分売買サポート(アパートローン利用)
東京都世田谷区 T.K様 64歳

7. まとめ:親戚間の売買を成功させるために

「おじ・おばが相続した・所有する不動産を、甥・姪が買う」という親戚間売買は、法律上は問題なく実行できます。

また、親子間・夫婦間の売買と比較して、住宅ローンの審査難易度が相対的に低い点もメリットです。

一方で、スムーズに進めるためには次の3つが重要です。

  1. 適正な売買代金の設定
    みなし贈与リスクを避けるため、相続税評価額〜実勢価格の範囲内で設定する。
  2. 取り扱い金融機関の選定
    親族間売買の実績がある専門家・不動産仲介業者を通じて、最適な金融機関へアプローチする。
  3. 契約書類の適正な整備
    売買契約書・重要事項説明書を不動産仲介業者が作成し、住宅ローン審査の土台に乗せると同時に、将来の借り換えや税務申告にも対応できるようにする。

「うちのケースでも売買できるのか」

「住宅ローンはどの金融機関に申し込めばいいのか」

など、より具体的な疑問点については、当事務所の『無料個別相談』にてご確認いただけます。

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鉾立 栄一朗
豊富な知識・経験・事例を持つ「財産承継手続きの専門家」 行政書士 鉾立榮一朗事務所 代表 Change&Revival株式会社 代表取締役 (宅地建物取引業免許 東京都知事(3)第94647号) 行政書士・宅地建物取引士 財産承継コンサルタント 財産・事業に関わる各種手続きでお困りの方を “専門家の知恵” と “最適な手法” でサポートする財産承継手続きの専門家。 20代会社員のとき、実家の金銭問題をそばで支えた体験から、お金や不動産など財産の問題で困っている人のサポート役になろうと決意。 その後、司法書士・行政書士・土地家屋調査士の合同事務所で働きながら、法務手続き実務を体得。 前職の財産・企業再生コンサルティング会社では、地域金融機関の専属アドバイザーとして年間50件以上の顧客相談に対応し、「身近に相談できる人がいない」、「知り合いに相談してみたが、満足な回答が得られない」と悩む個人や企業の財産問題・経営問題の解決に従事する。 専門は、相続・遺言、親族間の不動産売買・贈与、家族信託、会社設立・営業許認可申請等の各種法務実務の実践。 相談者の悩みを解決する最適な手法・手続きを提案し、必要に応じて適材適所、各分野の専門家をコーディネートする。
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