相続人は誰がなるの?調べる方法は?

こんにちは、財産承継コンサルタント/行政書士の鉾立です。

今回は、相続手続きに関してよくいただく質問に、Q&A形式で回答します。

 


 

Q. 相続人はいったい誰になるのでしょうか?
また、どうやって調べればいいのでしょうか?

叔父が亡くなり、甥である私がこれから相続手続きを始めようと思っています。

叔父には子供が1人いたのですが、数年前にすでに亡くなっています。

また、叔父は再婚しているので、聞いたことはないですが、もしかしたら前の奥さんとの間に子供がいるかもしれません。

また、叔父の姉にあたる私の母は、数年前に亡くなっていますが、叔父は5人きょうだいで、まだ元気なきょうだいが何人かいます。

相続人はいったい誰になるのでしょうか?
また、どうやって調べればいいのでしょうか?

 

A. 誰が相続人になるのかは、法律(民法)で決まっています。
また、誰が相続人になるかを調べるためには、関係者の戸籍謄本等を取得する必要があります。

どのような場合に、誰が相続人になるのかは、法律(民法)で決まっています。

まず、法定相続人について解説しましょう。

 

法定相続人とは?

法定相続人とは、法律(民法)で定められた相続人のことを言います。

まず、お亡くなりになられた方に配偶者(夫または妻)がいる場合は、 配偶者は必ず相続人になります。

なお、籍を入れていない(婚姻届を出していない)内縁の配偶者は、相続人にはなりません。

加えて、次の順位の方が相続人になります。

  • 第一順位 : 子供 (子供が亡くなっている場合は孫、ひ孫等)
  • 第二順位 : 父母 (父母が亡くなっている場合は祖父・祖母等)
  • 第三順位 : 兄弟姉妹 (兄弟姉妹が亡くなっている場合は、その子供である甥・姪まで)

もし、第一順位の相続人である子供が1人でもいれば、相続人は、その子供と配偶者だけになり、 第二順位以下の方は相続人になりません。

第二順位と第三順位の方についても同じことが言えます。

 

子供(第一順位の相続人)について

  1. 胎児
    相続人となる子供には、まだ生まれていない胎児も含まれます。
    (生まれたときに、相続人としての資格が与えられます。)
  1. 認知された子
    婚姻関係にない男女から生まれた子については、父親が認知をすると、父親の相続人となります。
  1. 養子
    役所で養子縁組の手続きをした養子は、第一順位の相続人となります。
    例えば、結婚相手の連れ子は、継親(まま母、まま父)と養子縁組することで第一順位の相続人となります。
  1. 代襲相続人
    子供が先に亡くなっている場合で、その孫がいるときは、孫が子供に代わって第一順位の相続人となります。
    この場合の孫のことを、代襲相続人といいます。
    (ひ孫についても同じことが言えます。)
    なお、養子が先に亡くなっている場合で、その孫がいるときは、養子縁組後に生まれた孫のみが代襲相続人となります。

 

父母(第二順位の相続人)について

亡くなった方に子供や孫等(第一順位の相続人)がいない場合は、亡くなった方の父母や祖父母等(第二順位の相続人)が相続人となります。

例えば、父母が存命であれば、父母が相続人となります。
父がすでに亡くなっていて母のみが存命であれば、母が相続人となります。
父母がすでに亡くなっていて、祖父母が存命であれば、祖父母が相続人となります。

なお、亡くなった方が養子である場合、養親も第二順位の相続人となります。

 

兄弟姉妹(第三順位の相続人)について

亡くなった方に子供や孫等(第一順位の相続人)がおらず、また、父母や祖父母等(第二順位の相続人)が先に亡くなっている場合は、亡くなった方の兄弟姉妹(第三順位の相続人)が相続人となります。

兄弟姉妹が先に亡くなっている場合で、その子供がいるときは、子供が兄弟姉妹に代わって第三順位の相続人となります。
この場合の兄弟姉妹の子供のことを、代襲相続人といいます。

ただし、第一順位の相続人である子供の代襲相続人と異なり、兄弟姉妹の代襲相続人は、その子供(亡くなった方の甥姪)までとなり、その孫以下は含まれません。

 

誰が相続人になるかを調べるためには、関係者の戸籍謄本等を取得する必要がある

たとえ誰が相続人になるかが分かっていたとしても、相続手続きを行う各手続き先に対して、戸籍謄本等を提示して誰が相続人になるかを証明する必要があります。

1. 法定相続人を調査・確定するためには、亡くなった方の本籍地、また各相続人の本籍地がある役所において、次に挙げる戸籍謄本等を取得する必要があります。

  • 亡くなった方の出生時から死亡時までのすべての戸籍謄本(除籍謄本、改製原戸籍謄本)
  • 相続人全員の戸籍謄本(現在の戸籍謄本)
  • 亡くなった方の子供(及び、その代襲相続人)で、先に亡くなっている方がいらっしゃる場合は、その子供(及び、その代襲相続人)の出生時から死亡時までのすべての戸籍謄本(除籍謄本、改製原戸籍謄本)

また、以下のケースの場合は、加えて次に挙げる戸籍謄本等を取得する必要があります。

2. 相続人が、亡くなった方の(配偶者と)父母・祖父母等(第二順位の相続人)の場合

  • 亡くなった方の父母で先に死亡している方がいらっしゃる場合は、その父母の死亡の記載のある戸籍謄本(除籍謄本、改製原戸籍謄本)

3. 相続人が、亡くなった方の配偶者のみの場合、または、亡くなった方の(配偶者と)の兄弟姉妹、及び、その代襲相続人(甥・姪)(第三順位の相続人)の場合>

  • 亡くなった方の父母の出生時から死亡時までのすべての戸籍謄本(除籍謄本、改製原戸籍謄本)
  • 亡くなった方の父母・祖父母等の死亡の記載のある戸籍謄本(除籍謄本、改製原戸籍謄本)
  • 亡くなった方の兄弟姉妹の中に先に亡くなっている方がいらっしゃる場合は、その兄弟姉妹の出生時から死亡時までのすべての戸籍謄本(除籍謄本、改製原戸籍謄本)
  • 代襲相続人としての甥・姪の中に先に亡くなっている方がいらっしゃる場合は、その甥、または、姪の死亡の記載のある戸籍謄本(除籍謄本、改製原戸籍謄本)

 

上記2. 3.のケースになると、戸籍謄本等を収集するのは専門家でもなかなか大変な作業となりますが、これらの戸籍謄本等が揃うことで、初めて相続人を確定することができるのです。

 

【参考記事】
相続手続きで亡くなった人の戸籍謄本を取得する方法は?【基本編】
相続手続きで地方の役所にある戸籍謄本を郵送で取得する方法は?

 


 

以上、ご参考になさってみてください。

では、次回の【財産承継ミニセミナー】でまたお会いしましょう。

 

【関連記事】
相続・遺産分割・遺言執行手続きの流れ・ポイント

 

この記事を執筆している専門家
鉾立 栄一朗

財産承継コンサルタント
/行政書士・宅地建物取引士

行政書士 鉾立榮一朗事務所 代表
Change&Revival株式会社 代表取締役 

法律に関わる各種手続きでお困りの方を “専門家の知恵” と “最適な手続き” でバックアップする法律手続アドバイザー。

会社員時代、実家の金銭問題をそばで支えた体験から、事業や財産の問題で困っている人のサポート役になろうと決意。

合同法務事務所で働きながら行政書士の資格を取得するも、流れ作業的な書類作成・申請手続代行といった依頼者の想いや意思決定プロセスに関われないポジションに限界を感じ、相談業務を習得すべく経営(企業再生)コンサルティング会社に入社。

地域金融機関の専属アドバイザーとして年間50件以上の顧客相談に対応し、「身近に相談できる人がいない」、「知り合いに相談してみたが、満足な回答が得られない」と悩む企業や個人の経営問題・財産問題の解決に従事する。

専門は、相続・遺言、贈与・売買、営業許認可申請等の各種法務実務の実践。相談者の悩みを解決する最適な手続き・手法を提案し、必要に応じて適材適所、各分野の専門家をコーディネートする。

家族は、妻と息子と猫(キジトラ雄)。

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