遺言書作成の際の注意点 生命保険金は、遺留分の計算に含まれる?

こんにちは、財産承継コンサルタント/行政書士の鉾立です。

今回は、遺言作成の際によく問題となる「遺留分」について、Q&A形式で回答します。

 


 

Q.
自分の遺言書を作る前に、遺留分の計算をしておこうと思います。

遺留分の計算をする際、生命保険金は亡くなった人(私)の財産に含めて計算するのでしょうか?

 

A.
これは、生命保険の契約状況によります。

まず、①亡くなった方が自分自身を保険契約者兼被保険者とし、かつ、保険金の受取人も自分を指定していたケースを考えてみましょう。

この場合、その生命保険契約は「自己のためにする生命保険契約」となり、その死亡を原因として支払われる生命保険金は、亡くなった方の相続財産となり、遺留分算定の基礎となる財産額に含めることになります。

一方で、②亡くなった方が保険契約者兼被保険者で、保険金の受取人に相続人を指定していたケースではどうでしょう。

この場合は、「他人のためにする保険契約」であり、保険金請求権は遺留分算定の基礎となる財産額には含まれず、受取人の固有の権利となるのが原則です。

ただし、その保険金額が相続財産のうちの相当部分を占めるなどして、相続人間の公平を著しく欠くような「特段の事情」がある場合は、特別受益性が肯定され、遺留分の算定の基礎に含めることになるので注意が必要です。

もっとも、遺留分相当額の生命保険金であれば、特別受益性が肯定されることはないでしょう。

つまり、遺留分を請求される可能性のある相続人を生命保険金の受取人に指定しておけば、その相続人は受け取った生命保険金を遺留分の支払いにあてることができるため、有効な遺留分対策となりえます。

 


 

以上、ご参考になさってみてください。

では、次回の【財産承継ミニセミナー】でまたお会いしましょう。

 

この記事を執筆している専門家
鉾立 栄一朗

財産承継コンサルタント
/行政書士・宅地建物取引士

行政書士 鉾立榮一朗事務所 代表
Change&Revival株式会社 代表取締役 

法律に関わる各種手続きでお困りの方を “専門家の知恵” と “最適な手続き” でバックアップする法律手続アドバイザー。

会社員時代、実家の金銭問題をそばで支えた体験から、事業や財産の問題で困っている人のサポート役になろうと決意。

合同法務事務所で働きながら行政書士の資格を取得するも、流れ作業的な書類作成・申請手続代行といった依頼者の想いや意思決定プロセスに関われないポジションに限界を感じ、相談業務を習得すべく経営(企業再生)コンサルティング会社に入社。

地域金融機関の専属アドバイザーとして年間50件以上の顧客相談に対応し、「身近に相談できる人がいない」、「知り合いに相談してみたが、満足な回答が得られない」と悩む企業や個人の経営問題・財産問題の解決に従事する。

専門は、相続・遺言、贈与・売買、営業許認可申請等の各種法務実務の実践。相談者の悩みを解決する最適な手続き・手法を提案し、必要に応じて適材適所、各分野の専門家をコーディネートする。

家族は、妻と息子と猫(キジトラ雄)。

毎月第1土曜日に『無料個別相談』実施中。
https://www.hokodate-jimusyo.com/soudankaib.html

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