一度決まった遺産分割協議のやり直しは可能でしょうか?

こんにちは、財産承継コンサルタント/行政書士の鉾立です。

今回は、相続手続きに関してよくいただく質問に、Q&A形式で回答します。

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Q. 一度決まった遺産分割協議のやり直しは可能でしょうか?

父が亡くなり、相続人である兄弟2人で、このたび遺産分割協議書を作成しました。

遺産分割協議書の内容は、父名義だった実家不動産を便宜上いったん長男の私が相続し、第三者に実家不動産を売却した後、売買代金から諸経費を差し引いた残額を兄弟で半々に分けるという内容です。
すでに実家不動産を便宜上私の名義にする相続登記も終わっています。

ところが、今になって弟が、この不動産は第三者に売りたくない、自分が住みたいと言い出して、売却活動がストップしてしまいました。

そこで、遺産分割協議をやり直して、実家不動産を弟名義に変更して、弟から代償金を分割で払ってもらおうかと考えています。

一度決まった遺産分割協議のやり直しは可能でしょうか?

 

A. 遺産分割協議のやり直しも法的には可能です。
ただし、贈与税に注意する必要があります。

 

1. 遺産分割協議のやり直しも法的には可能

一度有効に成立した遺産分割協議も、後日、相続人全員の合意により分割を一旦解除し、内容の異なる遺産分割協議を改めて成立させることは法的に可能です。

 

2. ただし、贈与税に注意

一度有効に成立した遺産分割協議を後日やり直して再度分割した場合は、税務上は「遺産分割により取得した財産」とは認められず、当初の遺産分割の取得者から新たな遺産分割の取得者への贈与と認定されてしまいます。

これは、遺産分割は相続開始の時にさかのぼって効力を生ずるため、再度の遺産分割は、一度確定した権利関係を新たに変更させるものと考えられているからです。

※ご参考相続税法基本通達19の2-8 ただし書
ただし、当初の分割により共同相続人又は包括受遺者に分属した財産を分割のやり直しとして再配分した場合には、その再配分により取得した財産は、同項に規定する分割により取得したものとはならないのであるから留意する。

したがって、遺産分割協議をやり直そうとするときは、この贈与税の課税リスクについて十分に検討する必要があります。

【参考記事】
生前贈与を行う際の税金の知識と注意点① どのような場合に贈与税がかかる?

 

3. 新たに作成する遺産分割協議書に加筆する文言について

相続人全員の合意があり、かつ、贈与税の心配がない、もしくは、贈与税の課税リスクを納得したうえで遺産分割協議をやり直す場合は、当初の遺産分割協議を解除したことを明確にするため、新たに作成する遺産分割協議に次の文言を加筆すると良いでしょう。

「相続人A、B及びCは、ABC間の令和○年○月○日付け遺産分割協議を合意により解除する。」

 

以上、ご参考になさってみてください。

 

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鉾立 栄一朗
豊富な知識・経験・事例を持つ「財産承継手続きの専門家」 行政書士 鉾立榮一朗事務所 代表 Change&Revival株式会社 代表取締役 (宅地建物取引業免許 東京都知事(3)第94647号) 行政書士・宅地建物取引士 財産承継コンサルタント 財産・事業に関わる各種手続きでお困りの方を “専門家の知恵” と “最適な手法” でサポートする財産承継手続きの専門家。 20代会社員のとき、実家の金銭問題をそばで支えた体験から、お金や不動産など財産の問題で困っている人のサポート役になろうと決意。 その後、司法書士・行政書士・土地家屋調査士の合同事務所で働きながら、法務手続き実務を体得。 前職の財産・企業再生コンサルティング会社では、地域金融機関の専属アドバイザーとして年間50件以上の顧客相談に対応し、「身近に相談できる人がいない」、「知り合いに相談してみたが、満足な回答が得られない」と悩む個人や企業の財産問題・経営問題の解決に従事する。 専門は、相続・遺言、親族間の不動産売買・贈与、家族信託、会社設立・営業許認可申請等の各種法務実務の実践。 相談者の悩みを解決する最適な手法・手続きを提案し、必要に応じて適材適所、各分野の専門家をコーディネートする。