ローン付きの賃貸アパート・マンションを遺言書で相続させる際の注意点は?

こんにちは、財産承継コンサルタント/行政書士の鉾立です。

今回は、遺言の作成に関してよくいただく質問に、Q&A形式で回答します。

 


 

Q.
相続対策の一環で、私が信用金庫からアパートローンを借りて、賃貸アパートを建築しました。

このアパートは、アパートローンの連帯保証人になってもらっている長男に相続させようと思っています。

もちろん、アパートローンとセットです。

遺言書を書く際に、注意点などはありますか?

 

A.
アパートローンなどの金銭債務は、法定相続分に従って各相続人に分割承継されるのが原則です。

「アパートローンは長男に負担させる」など、特定の相続人に特定の債務全部を相続させる遺言をしても、金融機関の承諾がない限り、金融機関には対抗できません。

なぜなら、もし遺言で、あえて財産がない人に借入金を負担させることにして、それが法的にまかり通ってしまえば、金融機関は借入金を回収できなくなってしまうからです。

ご相談のケースでは、ご長男に資産価値のあるアパートを相続させ、かつ、ご長男はそのアパートローンの連帯保証人でもあるため、信用金庫は、ご長男への債務引継ぎを承諾すると思われます。

一方で、万が一、他の相続人がアパートローンの返済を余儀なくされた場合などに備えて、相続人同士でどのように金銭の清算をするのか、その方法についても記載しておくことが望ましいでしょう。

<記載例>

第○条
遺言者は、遺言者の所有する下記の不動産を、長男A(昭和〇〇年〇〇月〇〇日生)に相続させる。


(アパートの表示)

2 長男Aは、前項に基づき不動産を相続することの負担として、同不動産に設定された抵当権にかかる残債務全額を支払うこと。

3 前項の定めにもかかわらず、他の相続人が同不動産に設定された抵当権にかかる残債務の弁済をした場合、長男Aは、弁済をした他の相続人に対し、その弁済額全額を支払い填補すること。

4 長男Aは、第1項に基づき不動産を相続することの負担として、同項建物の賃借人に対する敷金返還債務を支払うこと。

 


 

以上、ご参考になさってみてください。

では、次回の【財産承継ミニセミナー】でまたお会いしましょう。

 

※ご参考
公正証書遺言作成手続きの流れ・手順・ポイント

この記事を執筆している専門家
鉾立 栄一朗

財産承継コンサルタント
/行政書士・宅地建物取引士

行政書士 鉾立榮一朗事務所 代表
Change&Revival株式会社 代表取締役 

法律に関わる各種手続きでお困りの方を “専門家の知恵” と “最適な手続き” でバックアップする法律手続アドバイザー。

会社員時代、実家の金銭問題をそばで支えた体験から、事業や財産の問題で困っている人のサポート役になろうと決意。

合同法務事務所で働きながら行政書士の資格を取得するも、流れ作業的な書類作成・申請手続代行といった依頼者の想いや意思決定プロセスに関われないポジションに限界を感じ、相談業務を習得すべく経営(企業再生)コンサルティング会社に入社。

地域金融機関の専属アドバイザーとして年間50件以上の顧客相談に対応し、「身近に相談できる人がいない」、「知り合いに相談してみたが、満足な回答が得られない」と悩む企業や個人の経営問題・財産問題の解決に従事する。

専門は、相続・遺言、贈与・売買、営業許認可申請等の各種法務実務の実践。相談者の悩みを解決する最適な手続き・手法を提案し、必要に応じて適材適所、各分野の専門家をコーディネートする。

家族は、妻と息子と猫(キジトラ雄)。

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