一度作った遺言書は、作り変えることはできるの?

こんにちは、財産承継コンサルタント/行政書士の鉾立です。

今回は、遺言の作成に関してよくいただく質問に、Q&A形式で回答します。

 


 

Q.
今回、初めて遺言書を作ろうと思っています。

一度遺言書を作った後、後で気が変わったら作り変えることはできるのでしょうか?

 

A.
「今はこのように考えているが、後で事情が変わるかもしれない」

そう考えて、「遺言は後で作り変えることができますか?」と質問される方は多いです。

答えは○。

作り変えることは可能です。

では、前に作った遺言はどうなるのでしょうか?

この点については、民法で次のように規定されています。

民法第1023条
1.前の遺言が後の遺言と抵触するときは、その抵触する部分については、後の遺言で前の遺言を撤回したものとみなす。

例えば、A不動産を長男に相続させると前の遺言に書いてあったとします。

事情が変わって、後の遺言で、A不動産を長女に相続させると変更しました。

すると、前の遺言の「A不動産を長男に相続させる」とした部分は、法律上、撤回されたものと扱われます。

すなわち、後に書いた遺言が優先します。

このように、法律上は、遺言は「何度でも」作り変えることは可能です。

ただし、実際に相続が起こったとき、故人の引き出しの中から遺言が何通も出てきたら、相続人はどう思うでしょうか?

後の日付の遺言が優先するのは間違いありませんが、きっと、どれが故人にとって本心の遺言なのか、と混乱してしまうでしょう。

また、故人の心の移り変わりが明らかになることで、相続人間で無用なトラブルが発生するかもしれません。

そこで、遺言を作り変える際は、「これまでに作成したすべての遺言を取り消し撤回し、あらためてこの遺言を作ります」といった一文を遺言に記載するとともに、前の遺言は本人が処分しておくと良いでしょう。

 


 

以上、ご参考になさってみてください。

では、次回の【財産承継ミニセミナー】でまたお会いしましょう。

 

※ご参考
公正証書遺言作成手続きの流れ・手順・ポイント

この記事を執筆している専門家
鉾立 栄一朗

財産承継コンサルタント
/行政書士・宅地建物取引士

行政書士 鉾立榮一朗事務所 代表
Change&Revival株式会社 代表取締役 

法律に関わる各種手続きでお困りの方を “専門家の知恵” と “最適な手続き” でバックアップする法律手続アドバイザー。

会社員時代、実家の金銭問題をそばで支えた体験から、事業や財産の問題で困っている人のサポート役になろうと決意。

合同法務事務所で働きながら行政書士の資格を取得するも、流れ作業的な書類作成・申請手続代行といった依頼者の想いや意思決定プロセスに関われないポジションに限界を感じ、相談業務を習得すべく経営(企業再生)コンサルティング会社に入社。

地域金融機関の専属アドバイザーとして年間50件以上の顧客相談に対応し、「身近に相談できる人がいない」、「知り合いに相談してみたが、満足な回答が得られない」と悩む企業や個人の経営問題・財産問題の解決に従事する。

専門は、相続・遺言、贈与・売買、営業許認可申請等の各種法務実務の実践。相談者の悩みを解決する最適な手続き・手法を提案し、必要に応じて適材適所、各分野の専門家をコーディネートする。

家族は、妻と息子と猫(キジトラ雄)。

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