葬儀費用は誰が負担する?遺産分割協議書にどのように記載する?


こんにちは、財産承継コンサルタント/行政書士の鉾立です。

今回は、相続手続きに関してよくいただく質問に、Q&A形式で回答します。

> プロフィールを読む

 


 

Q. 葬儀費用は誰が負担するものなのでしょうか?
遺産分割協議書にはどのように記載すればいいのでしょうか?

父の相続手続きで、兄と弟の私で遺産分割協議を進めています。

葬儀費用の負担について、兄から「当然折半で」と言われています。

兄は葬儀屋選び、お寺のお布施、香典返しなどを、喪主としてすべて取り仕切っていたので、「当然折半」と言われてもなんだか釈然としません。

そもそも、葬儀費用は誰が負担するものなのでしょうか?

また、遺産分割協議書にはどのように記載すればいいのでしょうか?

 

A. 葬儀費用の負担者については、法的に「〇〇が負担する」と明確に規定されていません。
一般的には、相続人間の合意で決めることになります。

 

1. 葬儀費用は誰が負担する?

葬儀費用の負担者については、法的に「〇〇が負担する」と明確に規定されていません。

裁判例でも、いくつかの見解に分かれています。

代表的な判例には、次のものがあります。

①いわゆる「喪主」が負担するとしたもの
②相当な額の葬儀費用は相続人の共同負担としたもの
③葬儀費用は「相続財産に関する費用」に含まれるとしたもの

実務的には、亡くなった方の預金口座が凍結される前に(※)、相続人の方がある程度まとまったお金を引き出し、葬儀費用に充てられるケースが多いです。
(上記③の考え方の近いです。)

※金融機関は、死亡の事実を知ってから亡くなった方の口座を凍結します。

裁判で争うような状況でなければ、一般的には、葬儀費用の負担者は、相続人間の合意で決めることになります。

【参考記事】
相続法改正⑥ 遺産分割協議前の預貯金の払い戻し制度と計算例

 

2. 香典はどのように処理すればいい?

香典は、遺族の葬儀費用の負担を軽減することを主な目的とした、相互扶助に基づく金銭等の贈与と考えられています。

一般的には、香典の額が「葬儀費用+香典返しの費用」を上回る場合は、清算後の残額は喪主が取得するか、相続人で分けることが多いようです。

逆に、香典の額が「葬儀費用+香典返しの費用」を下回る場合は、相続人間の合意で清算後の不足額の負担者を決めることが多いようです。

 

3. 葬儀費用の遺産分割協議書への記載例

【遺産分割協議書への記載例】

<例1>
被相続人Aに係る葬儀費用については、相続人Bが負担するものとする。

<例2>
相続人B及びC及は、被相続人Aに係る葬儀費用〇〇〇万円について、B及びCが均等の割合で負担する旨合意した。

 

4. 葬儀費用と相続税の関係

相続税の計算においては、葬儀費用は財産から差し引くことができます。

相続税の計算上、財産から差し引くことができる葬儀費用は、次のようなものになります。

  • 火葬や埋葬、納骨をするためにかかった費用
  • 遺体や遺骨の回送にかかった費用
  • お通夜などにかかった飲食費など、葬式の前後に生じた費用で通常葬式にかかせない費用
  • お寺などに支払ったお布施や読経料など
  • 死体の捜索、または、死体や遺骨の運搬にかかった費用

【参考記事】
相続税の計算上、葬儀費用はどこまで認められる?

The following two tabs change content below.
鉾立 栄一朗
豊富な知識・経験・事例を持つ「財産承継手続きの専門家」 行政書士 鉾立榮一朗事務所 代表 Change&Revival株式会社 代表取締役 (宅地建物取引業免許 東京都知事(3)第94647号) 行政書士・宅地建物取引士 財産承継コンサルタント 財産・事業に関わる各種手続きでお困りの方を “専門家の知恵” と “最適な手法” でサポートする財産承継手続きの専門家。 20代会社員のとき、実家の金銭問題をそばで支えた体験から、お金や不動産など財産の問題で困っている人のサポート役になろうと決意。 その後、司法書士・行政書士・土地家屋調査士の合同事務所で働きながら、法務手続き実務を体得。 前職の財産・企業再生コンサルティング会社では、地域金融機関の専属アドバイザーとして年間50件以上の顧客相談に対応し、「身近に相談できる人がいない」、「知り合いに相談してみたが、満足な回答が得られない」と悩む個人や企業の財産問題・経営問題の解決に従事する。 専門は、相続・遺言、親族間の不動産売買・贈与、家族信託、会社設立・営業許認可申請等の各種法務実務の実践。 相談者の悩みを解決する最適な手法・手続きを提案し、必要に応じて適材適所、各分野の専門家をコーディネートする。